進路指導にまつわる先生方の悩みについて考えるシリーズ。前回は進路の決定についてのヒントをご提案しました。2回目は就職を希望する生徒さんに必要なスキルアップに役立つ情報をご紹介します。
Q 「意欲がない」生徒、どうしたらいいでしょう。
A まず、意欲を持てない大きな理由があるかを確認しましょう。家庭の事情、友人関係、部活動など日常の中に問題を抱えているかどうかを聞き出し、早期に対応が必要なものがあれば、解決策を講じてください。
一方、特段の理由はないけれど「やる気がでない」子もいますよね。昔ながらの「檄を飛ばす」方法は、今や全く通用しません。まずはよい点を見つけて肯定的な言葉をかけ続けることです。本人が認識できていないプラスの部分に光をあてて、自信を持たせるようにしましょう。
普段のクラス運営のなかで、消極的な生徒が活躍できる場面をつくり、自分が役に立つということに気づくよう仕向けてみてはいかがでしょうか。小さな意欲や興味をすくい取り、具体的な行動につなげたいものです。
ダメ出しは厳禁です。保護者とも連携して、焦らずじっくり働きかけてみてください。
Q 「人の意見を聞けない」生徒、先々が心配です。
A はたから見ると、無謀な決断をする生徒がいます。本人なりの理由や意志がある場合は、まずそれをよく聞き、受けとめることが必要でしょう。
そのうえで、客観的な状況を説明し、別な考え方があることを示します。これは、思い込みで方向性を決めている生徒には特に重要です。
他にも、視点を変えるような働きかけが有効な場合があります。例えば職場体験やアルバイトでものの見方が変わる子がいます。また、卒業生の体験談・失敗談は興味を持って聞くようです。
最終的には本人の意志を尊重することが大切ですが、多くの高校生を見守ってきた教師の立場から具体的なサポートをしてあげてください。
コミュニケーション能力の基本は「人の考えを受け取り、自分の考えを伝える」ことです。進路選択という大事な局面は、情報のやり取りの重要性に気づかせる大きなチャンスだと思われます。
Q 面接力をあげるにはどんな方法がありますか?
A 必ずやらなければならない「練習」の前に必要なことがあります。それは、本人が自分のアピールポイントを自覚することです。志望動機や自分の長所など、面接で質問される代表的な事柄を整理し、簡潔に答えられるよう準備させましょう。
そのうえで、なるべく多くの模擬面接を実施します。模擬面接は回数だけでなく、目的にあわせてやり方も変えてみてはいかがでしょうか。本人をよく知る教員は本人の気づいていないよい点を引き出すことができます。
また、あまり面識のない大人と話す緊張感も経験させ、慣れさせなければなりません。校長や教頭、同僚の教師の協力を得て、さまざまな質問を投げかけてもらうのもよい刺激になります。
最初は緊張から支離滅裂になっても、練習を重ねると見違えるように成長します。自信を持って本番の面接に臨めるよう、万全の準備をしたいものです。