「今どきの子ってこんなものかな」自分が高校生だった頃と時々比べてみること、ありますよね。では他の国の高校生と日本の高校生、どんな風に違うのでしょうか?日米中韓4か国の高校生アンケート、直近のデータをチェックしてみました。
ちょっと心配?日本の高校生
平成29年3月、国立青少年教育振興機構から「高校生の勉強と生活に関する意識調査報告書(日本・米国・中国・韓国の比較)」が公表されました。他の3国と大きく違う項目を見ると、今の高校生の姿が見えてきます。特徴的ないくつかの調査内容をご紹介しましょう。
一夜漬け多し
「勉強は好きか」日米韓の高校生はイエスが3割程度(中国だけは75.9%が好き)。しかし、そのやり方はどうも違うようです。12項目の勉強の仕方に関する質問の中で日本の高校生が目立って多いのが「試験の前にまとめて勉強する」(69.3%)。他の項目では、他国に比べて日本が極端に低いものがあります。たとえば…。
アメリカ
「できるだけ暗記しようとする」(80.5%、日本45.0%)
「教えられたとおりに勉強する」(73.6%、日本23.7%)
「勉強したものを実際に応用してみる」(65.5%、日本10.2%)
中国
「問題意識を持ち、聞いたり調べたりする」(52.7%、日本12.3%)
「参考書をたくさん読む」(50.3%、日本10.4%)
韓国
「毎日こつこつと勉強する」(23.4%、日本17.6%)
日本の高校生は試験をクリアするための勉強という意識が強く、学習スタイルが定着せず、学んだ内容が社会に出てから使いづらくなっているようです。
ノートは取るけどたまに居眠り
授業中の態度に関する9項目。日本が高いのは、
「授業中、きちんとノートをとる」(79.4%)
「授業中、居眠りをする」(15%)
これは授業の形態とリンクしているのかもしれません。日本では「教科書に従って、その内容を覚える授業」が大半を占めています。アクティブな授業が少なければ、学ぶ姿勢が受け身になってしまいがちです。
他の国で多いのは
アメリカ
「グループワークの時には積極的に参加する」(68.1%、日本25.3%)
中国
「出された宿題をきちんとする」(71.2%、日本49.1%)
「授業中、先生の話をよく聞く」(64%、日本45.9%)
先生の話を聞く、宿題をする、という基本的なことをしている高校生が半分以下というのはショッキングですね。
わからなくてもそのまま?
「勉強がわからないときの対処方法」は、どの国でも「友達に聞く」が7~8割と多いのですが、日本はここでも一番低い数値です。他の国の高校生と比べ、解決するための積極的な姿勢が窺えず、受け身な態度がみてとれます。
アメリカ
「学校の先生に聞く」(82.4%、日本44.1%)
「ネットで調べる」(84.5%、日本35.1%)
「家族に聞く」(57.6%、日本13.2%)
中国
「本や参考書などで調べる」(62.7%、日本44.8%)
韓国
「塾などの先生に聞く」(44.2%、日本17.7%)
人生はのんびり
社会に出てから、達成したい目標が最も高いのはアメリカの高校生。以下、中国、韓国と続きます。日本は10項目のうち8つで数値が一番低く「のんびりと気楽に暮らす」だけが他国と並ぶという結果でした。
「リーダーになる」(5.6%)「お金持ちになる」(21.5%)「社会のために役立つ」(35.2%)よりも「安定した仕事」(59.2%)「円満な家庭」(55.7%)「趣味を生かす暮らし」(54.2%)…将来について高望みしない傾向が顕著です。
4か国の比較調査からは、日本の高校生の勉強観・人生観が浮かび上がってきます。最も勉強していない国。学ぶことに対する淡泊さ、受け身な姿勢、描く将来の身の丈感。無理をせず、淡々とした様子に「もう少しよくばってもいいのでは?」といいたくなります。
教育現場ではアクティブラーニング、キャリア教育など新しい試みが始まっています。基礎学力の高い日本の高校生のマインドが変われば、積極的に社会に出ていこうとする若者がもっと増えることでしょう。
次回はこの調査で特に気になった「ICT(情報通信技術)の活用」に関する項目についてご紹介します。日々ネットやスマホを使いこなしているように見える彼らですが…。