自分の仕事を「選ぶ力」
岩手県盛岡を拠点に活動しているNPO「未来図書館」。子どもたちが自分の仕事を選択できる力、仕事を成し遂げる力を身につけるための、さまざまなキャリア教育プログラムを提供しています。なかでも中高生が社会人の想いや仕事の内容を直接聞くことのできる「未来パスポート」プログラムについてご紹介します。
未来パスポートって?
さまざまな職業の社会人講師が複数名で学校へ出向くこのプログラム。体育館や教室に講師が設置したブースを冊子「未来パスポート」を持った子ども達が訪れ、それぞれの仕事の内容や体験談などを聞きます。「未来パスポート」には講師たちのプロフィールや質問集が収録されており、生徒は興味のある講師を選んで直接やりとりをすることができるのです。
働くオトナの失敗談
2017年1月に行われた山田高校での「未来パスポート」。地元の漁師さん、役場職員、広告会社社長、信用金庫職員、NPO団体職員など8名の社会人講師がそれぞれのブースに分かれ、20分間の交流を2回ずつ行いました。
この日のテーマは「成功体験よりも失敗体験。社会の変化に対応しなければならないことなど。」参加した高校2年生たちに強い印象を与えたようです。交流後の感想からは「しっかり考えることが大事」「失敗してもあきらめなければ失敗者ではない」「経験は強みにも弱みにもなる」など、困難を乗り越えた体験談を深く受け止めたことが伺えました。
バラエティ豊かな講師陣
既にのべ1200名以上の社会人講師の協力を得ているこの取組み。他にも新聞記者、銀行職員、電車車掌、国際NGO職員、消防士、農業従事者などさまざまな分野の働く大人が生徒たちと対話をしてきました。デザイナーやシェフのブースでは実技が披露されることも。仕事のことだけではなく、学生時代や将来の夢について聞くこともできます。
教育現場に応じたプログラム
未来パスポートは県外への進学を希望する生徒の多い進学校や、地元での就職を望む学生の多い高校など学校のタイプ、ニーズに合わせたアレンジをすることができる柔軟なプログラムです。未来図書館のコーディネーターが学校側の担当者である先生方と綿密な検討を重ね、実態にあわせたカリキュラムをつくりあげていきます。
社会とのつながり発見
およそ2時間にわたる「未来パスポート」。大切にされているのは、子どもたちが普段の生活で接する機会の少ない大人との触れ合いを通じ仕事と社会を学び取っていく過程です。自分たちの地域や暮らしがさまざまな職業の働く人によって支えられていることを感じるとともに、社会人の生身の姿を感じることで自分の未来を想像するきっかけになっているのではないでしょうか。興味を持たれた方はぜひサイトをご覧ください。