56万人。今現在、俗にニートと言われている若者の数です。少子化で若い人の数は減っていても、その数はほぼ横ばい状態(平成27年版 内閣府子ども・若者白書より)。ニート状態になってしまう人にはどんな特徴があるのでしょうか?
人間関係がうまくいかない、仕事に情熱が持てないなど、いくつかの共通点があげられますが、原因のひとつとして「お金に関する知識や金銭感覚の欠如」があります。その対策として注目されているのが、「MoneyConnection」です。
タブー視されてきた「お金」教育
従来、日本の道徳教育の中で生々しいお金に関する教育は避けられてきました。でも「お金」に関する感覚は生きること、未来を選ぶことに絶対に必要です。リアルな金銭感覚を体感する経験は、人生を切り開く力を身につけることにつながるのではないでしょうか。
そこで、高校生へのキャリア教育の一環として行われている「MoneyConnection」をご紹介します。お金についてのさまざまな知識と考え方を提供するこのプログラム、気になる中身をチェックしてみました。
MoneyConnection(マネーコネクション)とは?
実際の生活費や働き方・収入の具体的なイメージを持てない高校生に、生きていくために必要なお金について考えるチャンスを提供するMoneyConnection。日本初のニート化予防を目的とした「金銭基礎教育プログラム」です。多くの高校に導入され、2017年8月末時点で851校、111,777名への実施実績があります。
お金や物の価値について考え、多様化する働き方や生活スタイルの違いを知り、長期的な「お金」と「人生」のことをゲーム形式で体験できるこの取組み。どんな風に行われているのでしょう?サイトの実施レポートをチェックしてみました。
第一のプログラム「稼ぐ」編
・一人暮らしに必要な金額(生活コスト)を知る
高校生は家賃や光熱費、税金や健康保険料の金額など考えたこともないのでは?生活費全体で約20万円が必要であることをベースに、様々な費用の全国平均の目安をチェックすると「水道代は意外に安い」「衣服費少ない!」など驚きの声があがります。
・働き方と収入から生活スタイルをシミュレーション
カードを引いて月収や働き方を決定。月収「100万円!」「15万円…」と盛り上がりますが、労働時間と自由な時間のバランスが加わると複雑な表情に。収入が多くても遊ぶ時間がない、フリーターで30万稼ぐのは大変、と現実的な感覚が芽生えてきます。
・10年後、20年後の暮らしをシミュレーション
将来の暮らしカードをひくと年齢があがり、生活スタイルが条件として加わります。月収15万円でいいや、と言っていた生徒が「40才で?結婚もできない」「賃貸マンションはきつい」などと考え始めます。
続いて「使う」編
・「必要なモノ」と「あった方がいいモノ」を分類、金額を予想
自分の価値観を整理します。「スーツはいらない」という生徒にファシリテーターが「でも会社にはジーンズではいけないよ」と話しかけると考えこむ様子。さまざまな状況によって必要なモノは変わる、と気づきます。
・将来の生活をシミュレーション
住む場所や年齢、家族構成の条件のカードを引き、価値観がどう変わるかを考えます。暮らしを想定したシチュエーションが加わると真剣さが増し、「働いて生活する大人」を自分の延長線上において考えるきっかけになるようです。
いかがでしょう。「うちの子にも体験して欲しい」と思われるのではないでしょうか。興味を持たれた方はサイトをぜひご覧になってみてください。