理科や数学の使い道
「数学や化学や物理‥何の役に立つの?」実生活で使う場面がない、と高校生が思っている学校の教科学習。実はさまざまな「ものづくり」を通じて私たちの暮らしや社会とつながっています。部屋に灯る電球は、金属とガラスでつくられ、スイッチひとつで電気が流れるよう配線されていますよね。「技術や知識」と「製品」の間には必ず「ものづくり」があります。その魅力を感じられる取組みをご紹介します。
エジソンの学校
大阪府の取り組み「エジソンの学校」は、普通科高校の生徒に学校で学ぶ教科と「ものづくり」との連動性の体験を提供する取組みです。多くの高校生に、ものづくりから得られる学びを届けようとするこのプログラム。高校への「出前講座」の具体的な内容を見てみましょう。
「おもしろ装置」をつくろう
テーマは「制御」。プログラムは「知る」「体験する」「興味を持つ」の3ステップで構成されています。モデル校の実施の様子とともに流れを追ってみました。
「知る!」
まずはさまざまな機械制御の仕組みや活用事例を「知る」ところから。生徒の身近な製品や、講師が手掛けたものづくり事例を、映像や写真で紹介します。人感センサーと扇風機を組み合わせた「手の動きにより雪が舞うショウウィンドウ」では「感知を滑らかにするために、サイン・コサイン・タンジェントなどの数学の知識が生かされている」と聞いた生徒たちはビックリ。
「体験する!」
センサーの実物を使い、使い方やその効果をシミュレーション。「○○したら(インプット)、××する(アウトプット)」という仕組みを体験する「おもしろ装置」づくりを行います。装置の例をカードで各チームへ配布。書かれた例を実現するためにアイデアを出し合って発表し、実際の装置づくりに挑戦しました。
「興味を持つ!」
ものづくりの道に進んだエピソードや、制御の仕組みがどのような製品やサービスを生み出すのか、それらが個人の生活や社会にどのような変化を与えるのかについて講師が語ります。数学、物理、語学などを「手段」として実現することが生徒に伝わり、教科学習が実際に役立つイメージを興味につなげていきます。
バラエティに富むプログラム
ガイドブックには基本プログラムだけでも12種類が紹介されています。講師は家具職人、大工など比較的身近な職種から銅板加工職人、自動車カスタマイズ工、現代美術家などさまざま。学校のニーズや生徒の興味に合わせてプログラムを選ぶことができます。キャリア教育のひとつとして導入を考える先生方のご参考になるのではないでしょうか。
高校生とものづくりをつなぐ
「エジソンの学校」には、地元のものづくり産業へ若者の目を向けることへの期待も込められています。この取組みのターゲットは普通科の高校生。専門科で学ぶ高校生だけでなく、普通科の生徒に製造業を身近に感じてもらい、進路選択を広めるきっかけにしようとしています。毎日の教科学習の意義や、その先にある技術を感じることは仕事をするイメージを膨らませるのではないでしょうか。興味を持たれた方はサイトをご覧になってみてください。