高校生のみなさん、「ジョブシャドウイング」という言葉を知っていますか?アメリカでは職業教育の一環として定着しているジョブシャドウイング。日本でも実施している企業が増えてきています。
今回は、就職を考えるうえで大切な「職業観」が身につく「ジョブシャドウイング」について、詳しくご紹介したいと思います。
「企業」ではなく「仕事」そのものを見る
ジョブシャドウイングとは、会社やお店などで働く人に「影」(シャドウ)のように半日から1日密着し、働く様子を観察する教育プログラムです。マンツーマンで影のようにずっと観察することで、「仕事観」や「職業観」を養うことを目的としています。
「会社」より「仕事」にクローズアップするので、さまざまな業種や職種の認識を広げることができ、将来、自分が就きたい仕事を探す時の指標になります。
「知らない」ものは選べない
ジョブシャドウイングは、学校の授業やネットの情報では得られない、「仕事を肌で体感する」機会を持つことができます。会社やお店などで「働いている人」に影のように密着することで、自分が実際に働いているような疑似体験をすることになり、密着した人が働く姿を通して、自分が働く姿を具体的にイメージすることができます。
どんな仕事かを深く知ることは、「職業観」や「仕事観」を養うと同時に、高校卒業後の進路を真剣に考えるきっかけになります。
「リアルな仕事」を体感できる
ジョブシャドウイングが定着しているアメリカでは、インターンシップや職場体験の前段階として位置づけられており、多くの中高生が体験しています。
また、インターンシップのように、実際に仕事を体験するわけではないので、今まで高校生が実際に行うことはできなかった専門性の高い職場(例えば医者や企業での交渉・取引現場など)でも、「観察」するだけのジョブシャドウイングであれば、近くで体感することが可能になります。
会社の全体の雰囲気を見て回る職場見学や、高校生用に用意された仕事を体験するインターンシップとは違い、普段の仕事の様子を間近で観察するジョブシャドウイングは、リアルに仕事を体感できるのが大きな特徴です。
ジョブシャドウイングで広がる可能性
2011年頃からジョブシャドウイングを積極的に実施している埼玉県では、多くの高校生がジョブシャドウイングを体験しています。
【参加した高校生の感想】
「パソコンに向かっている時間が長かった。一生懸命働いている姿を見て、自分も社会に貢献できるようにしっかり働きたいと思った」
「銀行だから営業の仕事かと思ったら、デスクワークも多くて驚いた。イメージだけで仕事を考えてはいけないなと思った。」
「働くことにネガティブだったが、楽しそうに働く姿を見て、イメージが変わった。」
プロの仕事を近くで見ることで、自分の視野の狭さに気づいたり、働く人のすごさを肌で感じ取ることができているのが伺えます。
「ジョブシャドウイング」を行うことで、自分の固定観念を解きほぐし、新しい価値観を発見できるのは、今後の進路選択を考えるうえで、大きな財産になるのではないでしょうか。