埼玉県が高校生とものづくり現場を結ぶ取組みを行っています。県内の高校に通う生徒を対象に、埼玉県内の製造業や建設業など、「ものづくり企業」をめぐるバスツアーを実施。人手不足に悩む県内の企業への就職を促進しています。
工業県、埼玉
埼玉県には多彩なモノづくり企業があります。なかでも製造業、建設業の企業数はそれぞれ全国4位。製造品出荷額は全国で6番目の規模、全国有数の工業県です。豊かな製造業の基盤を持ち、高度な技術力を有する多くの企業が事業を行っています。
2017年には「未来を探せ!高校生ものづくり最前線体感事業」と銘打ってバスツアーを企画。県立工業高校の1年生を中心にさまざまな事業所への見学を行いました。
現場の仕事に興味津々
特殊銅合金を扱う企業の工場見学では、初めて見る作業を熱心に見学。ハンマーで叩いてモノを作り出す現場の作業に、ものづくりの技術の力強さを実感したのではないでしょうか。
ビルの建設現場では、鉄筋コンクリートの工法と鉄骨の工法を同時に見学しました。実際の機材を使用して基準線を引く仕事の一部を体験。女子生徒も大勢参加し、大きな建物でも基準となる線は人の手作業することを実感することができたようです。
電気制御機器、半導体応用製品などの設計、製造を行う企業では、普段直接目にすることはない重要な部品の製造に驚く高校生もいました。
住宅の建築現場では完成すると見えなくなる内部の構造について説明を受け、熱心に耳を傾けていました。自社で大工の育成を行っている会社の技術訓練校を訪れ、実際に住宅を建てる際に使用する工具を使って体験します。
自動車ディーラーのサービスセンターでは整備や板金塗装、修理などが行われている整備工場を見学。生徒が社員の指導を受けながら塗装を体験しました。
ランチは企業の若手社員と一緒に
見学を終えた生徒たち、若手の技能者や社員と一緒にお弁当を食べながら、熱心に質問をしたりと話がはずんだそうです。物づくりの現場で活躍する若手に直接話を聞くチャンスはなかなかありません。現場でさまざまな体験をしたり、実際に働く先輩の姿を間近に感じることで、生徒たちはものづくりの魅力を感じたのではないでしょうか。
高校生の採用意欲は強いものの…
埼玉県では高卒新卒生の求人が増加しているものの、県内の就職希望者は減少。県内企業にとって高校生採用は大きな課題になっています。埼玉県産業人材育成課では「早いうちに高校生にものづくりの魅力を知ってもらい、県内の企業で活躍してくれる人を増やしたい」としています。