「高卒の新卒採用はいろいろルールがあって難しい」そんな風に感じている人事・採用担当者がいらっしゃるかもしれません。確かに高校生採用には大学生の場合にはないルールや慣習がありますが、ルールの目的と求められていることを理解して対応すれば、むしろ企業が助かる!という場合も。高卒就職にまつわるルール、どんなものなのか、さっそくチェックしてみましょう。
基本ルールはハローワークで確認
各県の労働局(ハローワーク)のWEBサイトに「新規学校卒業者の採用」についてスケジュールから規制、禁止事項、注意点などの説明があります。高校生の「健全な学校教育の妨げ」「適正な職業選択の阻害要因」とならないよう、秩序ある求人活動をすることが求められています。
高校生の就職活動の流れ
地域ごとに多少の前後はありますが、例年東京都では以下のようなスケジュールとなっています。
6/1~ ハローワークに求人申込書提出(全国統一フォーム)
7/1~ 各高校への求人票送付・企業の学校訪問開始
生徒は求人票から学校の進路指導担当、保護者と相談し応募先を選定。
実施があれば、職場見学や会社見学。
8月下旬までに応募する企業を決定。学校に推薦を依頼する。
9/5 応募開始。1人1社のみの応募
9/16~ 採用選考開始
選考結果を学校を通じ文書で通知。
10/1~ 1人2社の応募・推薦解禁
(時期については県ごとに申し合わせ(平成30年3月卒業者)あり)
ルール順守で信頼関係を
一見しただけでも「大学生採用とは勝手が違うな」と感じられることでしょう。基本的には知識・経験に乏しい高校生を守るためにあるルールです。生徒は企業と接触した後、どのような内容であったかを学校に報告。ルールが順守されていない場合、ハローワークから指導を受ける場合もあるとのことです。また、生徒を送り出す学校からの信頼を失うと「推薦をしてもらえない=応募が来ない」ということにもなりかねません。
大学生採用との違い
高校生の採用で一番ネックになりそうなのは「応募者との接触に制限がある」ということでしょうか。
・応募書類は「全国高等学校統一応募用紙」のみ
・職場見学は実施できるが、選考につながるような行動は不可
・面接はほぼ1回のみ。質問の内容に制限あり(就職差別につながる可能性のあるもの)
・速やかな採否の通知を求められる(1人1社の専願であり不採用の場合、他への応募ができないため)
生徒の個性を熟知した先生の推薦があるとはいえ、社員として採用するわけですから互いの相性を見極めたいところです。新卒社員の早期離職が問題になっていますが、最大の原因は「ミスマッチ」であると言われています。現行のルールの中で、より自社についての理解を深め希望する人材の応募を促す工夫が必要です。
企業にとってのメリット
ひとつは「内定辞退がない」ということ。学校推薦を受け1人1社しか受験しませんので、内定を出せばほぼ計画通り採用できます。採用試験をしてから早期に採否を決める必要がありますが、裏返せば短期で採用を決着できるというのも利点です。
またオープンな「公開求人」のほかに「指定校求人」という募集の仕方があります。ハローワークに報告する必要がありますが、求人を出したい学校にのみ求人票を出すという方法。進学率の高い普通科高校にも就職希望者はいますので、学校を限定して募集することも可能です。
個別のつながりと公開の情報発信
高校生の就職先は先生のアドバイスを受けて選択され、最終的には保護者の同意も必要です。学校の先生との信頼関係を築くとともに、生徒本人はもちろん保護者にも「良い会社」であることが伝わる必要があります。最近では高校生向けの採用WEBサイトを設ける企業も増えてきました。制限のある高校生採用ですが、ポイントをおさえルールを活用することで、ぜひとも人材確保のチャンスを広げてください。