深刻化する人手不足のなか、高卒で就職する高校生に注目が集まっています。大学生の新卒採用に苦労する企業が増加しており、今後、より高卒採用シフトを強める会社が増加していきそうです。
厳しい大卒採用
大卒新卒採用において目指す採用計画が実現できない企業が多くなっています。特に従業員数300人未満の中小企業では、過半数が採用内定の目標数に達していない状況です。(平成29年2月労働経済動向調査概況より)売り手市場の近年は、内定を出した学生がその後大企業からの内定を受け「辞退」ということも少なくありません。採用活動の開始を早めるなどの対策をしても、この構図はなかなか解消できないでしょう。
高い3年以内離職率
平成29年9月発表の「新規学卒就職者の離職状況(平成26年3月卒業者の状況)」を見ると3年以内離職率は高卒就職者は40.8%、大卒者は32.2%となっています。早期に辞めてしまうリスクは大卒者においても軽視できない割合です。
なにがなんでも大卒?
採用難傾向、離職率の高さなどは大卒、高卒ともに新卒採用に共通の要素です。また、大学で仕事の実際を学んでいる学生は少ないので、正社員として働いた経験がないというのも同じ。実務、という点では「やる気次第」ともいえるでしょう。実際、高校生を積極的に採用している企業では「一生懸命社会で働くという覚悟のある人も多く、じっくり育てる覚悟さえあれば、高校生は重要な戦力になる」と見ています。
高校新卒生の魅力
今後高卒の新卒採用を「増やしたい」と考えている企業にその理由をたずねたところ、
・長期的に育成することが必要な基幹的業務を担う者の確保
・年齢等人員構成の適正化
が大きなものとして挙げられました。高卒で就職する若者を丁寧に育成し、業務の中核を担う人材にしていきたい、という方向性が伺えます。
技能伝承問題
たとえば製造業や建設業などでは、ベテラン技能者の退職に伴う技能伝承の必要性が高まっており、若手社員の人材育成が喫緊の課題となっています。特に熟練社員の技術に頼るところのあるような中小企業では問題は深刻です。企業の財産であり、一朝一夕にはできない技術・技能伝承の担い手として高卒生が注目されています。
金の卵?高卒で就職する若者
全高校卒業者の2割弱、平成29年3月卒業の卒業者においては19万2千人が就職を希望し、その98%が実際に就職をしています。高校生の採用活動はハローワークを通じて高校へ求人票を出すなど独自のプロセスがあります。基本的に1人1社しか応募できませんので、内定を出すことができればほぼ確実に採用ができるのも魅力です。
同じ22才の若者でも
大学新卒者と社会人4年目の高卒者、企業で担ってほしい役割によっては後者の方が戦力として魅力的な場合があるのではないでしょうか。高校生採用の可能性について、真剣に検討する時期がきているように思われます。