高卒で就職する若者の県外流出や、高校生の職業意識を育てることの難しさに課題を感じている地域にとってのヒントになるかもしれません!石川県のジョブカフェは「若者の就労支援」の一般的な枠にとどまらず、一歩進んだ活動をしています。充実した職業意識啓発・キャリア教育支援メニューを提供、積極的に中高生への働きかけを行っているのです。どのような取組みなのか、チェックしてみました。
高卒新卒、地元就職率93%
石川県の平成29年高卒新卒、就職内定率は全国2位の99.8%(トップは富山100%)。石川県内への就職率は93%で全国平均の81%と比べ圧倒的に地元への就職が多いのがわかります。石川県の高校生の地元就職率の高さの理由はどこにあるのでしょうか。
「地元で働く」をサポート
ジョブカフェ石川が掲げるのは「『いしかわで働きたい』若者と、県内企業との幸せな出会いをサポートします。」というメッセージ。中高生の段階から、県内企業を身近に感じられるようなさまざまなプログラムを実施しています。
・県内企業の社長が語る「石川県の産業の魅力」講話
県内企業のトップが高校生に向け「働くこと」や「地域産業の魅力」を語る場を提供。経営者から直接話しを聞くことで、将来の地元で働くことをイメージするチャンスになります。
・地元で働く社会人の職業講話
現役の社会人が「仕事探しシェルパ(水先案内人)」として仕事の魅力ややりがいを直接生徒たちに伝えます。職種は実にさまざま!50名以上の登録者がサイトに掲載されており、希望の分野の講演を依頼することもできます。
・いしかわふるさとセミナー
夏休みには高校生向けのセミナーを開催。注目を浴びている中小企業トップの講演とともに、石川県で働く若手社員が登壇し高校生にメッセージを伝えるプログラムが行われました。
高卒就職向け実践メニュー
平成29年7月に行われた「企業ガイダンス」イベントでは県内191社の企業と、来春卒業・就職予定の生徒と保護者約1900名が参加し大盛況でした。就職試験を受ける高校生のための「直前対策講座」や「模擬面接指導」など高卒就職をめざす生徒に向けた手厚いプログラムも実施しています。
自分と仕事を考えるプログラム
地元企業とのつながりの手前に、生徒それぞれの仕事観を刺激するメニューも用意されています。
・パソコンを使った職業適性診断
・職業疑似体験システム
・キャリアガイダンス
・ビデオ学習
こういったプログラムは学校単位でジョブカフェを訪れ、体験することができるようになっています。
働きやすい、働きたい地域づくり
石川県は「女性の就業率全国1位」「夫婦共働き率3位」「保育所の待機児童ゼロ」の働きやすさトップクラスの県。女性もずっと仕事を持つのが普通、という感覚が強い地域だといえるでしょう。ジョブカフェ石川の取組みなどが、若者のキャリア感覚に大きな影響を与えているのかもしれません。
キャリア教育としても、地域の活性化施策としても効果のありそうなジョブカフェ石川の取組みの数々。学校と企業や社会とのつなぎ役として、全国のジョブカフェの役割拡大が期待されます。