「この子のために!」と思って助言をしても、聞いてもらえないもどかしさ。「もう高校生なのに……!」という苛立ち。そんな我が子とのコミュニケーションに戸惑いや不安を感じる保護者の方も多いでしょう。
では、どうすれば高校生になった我が子のやる気スイッチを押すことができるのでしょうか。いくつかの会話例を見ながら解決方法を探ってみましょう!
CASE1
「ずっと携帯でゲームをしてばかり。その姿を見るだけでイライラする。」
・ありがちなNG会話
親:また携帯いじってるの?!
子:たまたまゲームしている時にお母さんが入ってきたんだろ!
親:携帯触ってる時間と同じくらい勉強したらどうなの!
子:……(無視)
親:次のテストは大丈夫なの?
子……
親:ちょっと、聞いてるの!
子:あー、はいはい。
親……(イライラッ)
みなさんも一度は経験したことがある会話ではないでしょうか。この場合、本当にお子さんが携帯を持った瞬間に部屋に入ってしまったのかもしれません。自分の思い込みだけでものを言わず、子供の話をまず受け入れることが大切です。
子供にとって、「親に信頼されていない」というのは、一番ショックなことです。まず、信用し理解を示すこと、その後に「心配なんだよ」という親の気持ちを伝えましょう。
・やる気スイッチON会話
親:そっか、今回はたまたまだったのね。
子:うん、そうだよ。
親:携帯触っているのを見ると、目が悪くならないかなとか、勉強は大丈夫かなとか、心配になるのよね。
子:そっか……(と、少しは勉強する気になるかも!)
CASE2
「部活動に熱中しすぎて、勉強する時間がない!」
・ありがちなNG会話
親:お帰り!今日も遅かったね。
子:大会前だからね。あー疲れた。
親:あと少しでテストでしょ。勉強しなさいよ!
子:無理。眠たい。疲れた。
親:こないだのテスト悪かったから、今度は頑張るって言ったじゃない。
子:言ったけど……
親:部活ばっかり頑張って!
子:頑張っちゃいけないのかよ!
親:勉強の方が大事でしょ。次のテストで成績上がらなかったら、部活やめなさい!
子:嫌だね。引退までは絶対続ける!
親:なんですってー(ムキーッ)
部活が大切なのも分かるけど、まずはしっかり勉強してほしいと思うのが親心ですよね。でも、部活を頑張っている自分を認めてほしいと思う子どもの気持ちを認めてあげるのも大切なこと。「疲れた」と言っているので、まず「お疲れ様」と言ってあげましょう。子どもの気持ちを受け止めたうえで、言葉を返すだけで、子どもの気持ちはスッと落ち着くはずです。
・やる気スイッチON会話
親:お疲れ様!頑張ったから疲れたんだね。でも、前回のテストが悪かったから、次は頑張るって言ってたよね。
子:……うん。
親:部活を頑張るのがダメだって言ったんじゃないのよ。部活を頑張ってるのは偉いなと思ってるのよ。ただ、勉強は大丈夫かなと心配なの。
子:部活も勉強も頑張るよ。(認めてもらえたことで、やる気になるかも!)
親:うん、応援しているからね!
CASE3
「やることをやらずに、だらだらした生活態度にイライラ!」
・ありがちなNG会話
親:テレビ見てないで、早く食べなさい!お風呂も入ってないでしょ!さっきからずっと言ってるけど!
子:(テレビを見ながら)うん……
親:聞いてるの?!
子:見ながら食べてる。
親:口動いてないけど!
子:食べてるって言ってるじゃん。
親:食べ終わったら、お皿も台所にさげるのよ。昨日もそのままだったでしょ。
子:あー、もー、うるさいなー。いいとこ聞き逃したじゃん!
親:……(イラッ)
せっかく作ったご飯を、テレビを見ながら食べられるのって切ないですね。その上、だらだらされたら、ちっとも片付かない。イライラしてしまう気持ちも分かります。
でも、もしかしたらお子さんは、だらだらしているつもりはないかもしれません。頭ごなしに怒るのではなく、何に困っていて、どうして欲しいのかを具体的に話してみましょう。親の気持ちに気づけば、子どもも行動に移してくれるかもしれません。
・やる気スイッチON会話
親:こんな時間までご飯食べてたら、寝るのが遅くなるでしょう。朝起きるの辛くなるわよ。私も後片付けが遅くなって困るのよね。
子:そっか。分かったよ。(と、すぐ行動してくれるかも!)
CASE4
「高校生になった途端、髪の毛染めて、派手な服装。学生らしい格好をしなさい!」
・ありがちなNG会話
子:行ってきます!
親:ちょっと待って。その格好で出かけるの?
子:えっ、そうだけど。
親:露出多すぎでしょ!はしたない。もっと高校生らしい服装にしなさい。
子:これ、今の流行りなんだけど。お母さんが流行遅れなんだよ!
親:お化粧だって濃すぎるわよ。
子:待ち合わせ時間に遅れる!
親:ちょっと、何時に帰ってくるの?!
子:……
ファッションやお化粧は、年齢はともかく、好みの問題もあるので難しいですよね。親の価値観を無理やり押し付けては、子どもは反発するだけです。まずは、心配しているんだという気持ちを伝えましょう。そして、一緒にテレビを見ている時など、タイミングを見て自分の価値観を伝えてみましょう。その時、子どもも自分の思いを教えてくれるかもしれません。意見の交換ができる関係はとても大切です。
・やる気スイッチON会話
親:スカートが短すぎると、変質者に狙われるんじゃないかと心配なのよね。
子:……(それは困る!と思って、少し露出を控えてくれるかも!)
いかがだったでしょうか?
親からコミュニケーションの取り方を変えることで、子どもの心はグッと近くなります。実は、相手を変えようとするより、自分が変わる方がずいぶん簡単なのです。
高校生になると、自分の考えや価値観をしっかり持ち始めます。子どもへの関わり方を見直すには絶好のチャンスです。子どもの性格や行動を頭ごなしに否定せず、気持ちを受け止め理解しようとする態度を見せることが大切です。
「親に理解されている、信頼されている」と分かれば、反抗期の子どもの心に余裕がうまれ、親の話を聞いてみようという気持ちになるものです。
日常会話から実践してみてください。お子さんのやる気スイッチが「ON」になるかもしれません。