最終更新日:2020.5.19
「人事・採用担当者必見! 「高卒採用」で押さえておきたい4つのポイント(2)選考・内定から入社まで」
新卒採用は売り手市場。「大卒採用が難しい」「成長の期待できる若い人材が欲しい」など、今まで高卒新卒採用をしてこなかった大手企業においても高校生採用に門戸を開くケースが増えてきました。
人気が高まりつつある高校生新卒採用。新卒で就職する高校生の採用には大卒や一般の求人とは異なる注意点があります。今回は「ルール」「実務」の2つについてご説明します。
高卒者求人活動のルール
高卒者の求人活動は、授業や学校生活に支障のないよう、各地の労働基準局ごとにルールとスケジュールが定められています。採用選考・内定スケジュールは概ね以下の通りです。
6月1日 公共職業安定所における求人申し込み受付開始
7月1日 学校への求人申し込みおよび学校訪問開始
9月5日 企業への推薦書類提出開始(いわゆる「解禁日」)
9月16日 選考および内定開始(1人1社まで)
10月1日 1人2社の複数応募の開始(地域によっては11月1日)
(1)学校を通しての就職活動
高校卒者の求人は基本的に高校の進路指導部に対して提供することになります。就職希望者は学校を通じて求人票を閲覧し、企業への応募を行います。
夏に行われることの多い職場見学でも採用につながるような高校生との接触は禁じられており、直接の接触は採用面接の場、ということがほとんどです。内定までは会社と就職希望者は直接に連絡を取ることはできず、内定後も卒業式までは学校を通して連絡することが望ましいとされています。
(2)1人1社制
高校生は基本的に「1人1社」しか応募することができません。一度に複数の企業へ応募すると就職活動に追われ、学校生活に支障を来す恐れがあるため、解禁日から一定の期日までは1人1社制という措置がとられています。
10~11月になると複数企業への応募が可能になりますので「内定辞退」ということも発生しますが、それまでの期間は高校生の場合は内定=就職となることがほとんどです。短期間で採用活動を終えることができるのは企業側にもメリットがあるといえます。
(3)指定校求人
学校を指定して高卒新卒採用の求人を出す方法です。地域など採用したい学校を絞り込んで、推薦依頼校として指定することが可能になります。メリットは、進路担当の先生や学校との信頼関係を築くことでコンスタントに採用ができること。高校側からすると毎年自校の生徒を採用し、その後も様子もわかるなど安心感のある存在。企業再度から見れば社風や求める人材像に合った生徒を推薦してもらえる可能性が高まります。
なにが違うの?「指定校求人」と「公開求人」のメリット・デメリット
(4)全国高等学校統一用紙のみを使用
高卒新卒の採用をしたい企業は6月1日以降、ハローワークに所定の求人申込書(求人申込書(高卒))に記入して持参、もしくはハローワークのネット上で仮登録をしてから出向きます。
初めて高校生の求人をする企業は、まず事業所登録が必要ですので管轄のハローワークで手続きを行ってください。
7月1日以降、求人票が発行されますので各高校へ送付、持参することになります。また公開希望をすればハローワークが管理する「高卒就職情報WEB提供サービス」で求人票を公開することができます。
履歴書(本人が記入)、調査書(学校が記入、校長印があるもの)は全国統一で指定されており、選考の過程においてそれ以外の書類を学校や就職希望者に要求することはできません。
(5)書類選考のみによることなく面接を行う
書類選考によるふるい落としは行わずに面接を行うことが望まれます。また、高校卒者は成長過程にあるので、面接の際には潜在的な能力や採用後の教育訓練による可能性まで考慮するようにします。
(6)法律の適用
高校卒者の求人であっても、その他の求人と同様に、法律の適用について注意を払わなければなりません。
実務上のポイント
面接・選考内容についてはルール(厚生労働省「公正な採用選考チェックポイント」、東京都「採用と人権(明るい職場を目指して)」)を守らないと行政から指導を受ける可能性があるため、事前に確認しておく必要があります。
より具体的な留意点をチェックしたい場合は東京都の「採用選考時に配慮すべき14事項」が参考になりますのでご参照ください。
これらは就職差別につながることのない、応募者の適正と能力を基準とした公正な採用選考実施のためのルールです。具体的には
・作文の課題として不適切なものを避ける。
・面接時に就職差別につながる恐れがある事項についての質問は避ける。
・健康診断を画一的に実施せず、真に必要な場合のみ業務との関連性を十分に説明し、本人の同意を得たうえで必要な検査項目のみ行うこと。
などとなっています。
高校生新卒採用の基本的な「ルール・実務」についてご説明しました。次回は「選考・内定から入社まで」についてお伝えします。