最終更新日: 2018-04-05
「人事・採用担当者必見! 「高卒採用」で押さえておきたい4つのポイント(1)ルール・実務」
高校生の新卒採用に注目が集まっています。新たに高卒就職者をターゲットに採用活動を始める企業も増えていますが、高卒者採用を行うにあたっては、大学卒求人とは異なる独自の注意点があります。前回は「ルール・実務」についてご説明しました。今回は「選考」と「内定から入社まで」に関するポイントをお伝えします。
採用選考・内定に関するポイント
(1)作文
本人の家族状況、生活環境、思想・信条を課題を避けます。具体的には「私の家族」「私の生い立ち」「尊敬する人物」などが問題のある事例です。「触れられたくない」「他人に言いたくない」という事情を抱えている就職希望者に苦痛を与えたり、本来自由であるべき思想・信条を直接・間接的に書かせることになります。
(2)面接
・就職差別につながる恐れがある事項についての質問は避けましょう。
問題事例としては「今の社会をどう思いますか」「ご両親の出身地はどこですか」「家庭では何新聞を読んでいますか」などです。
・男女雇用機会均等法に抵触しないようにしましょう。
男性または女性だけに「結婚や出産後も働き続けますか」「転勤は可能ですか」などと聞くのは問題があります。
・適正や能力をもとに判断してください。
望ましい質問は「長所は何だと思いますか」「特異な学科は何ですか」「どんな仕事をしてみたいですか」などです。
・会社の情報を提供してください。
業務について具体的に話すことで就職希望者の考える業務内容とのミスマッチを防ぐことができます。適切な例は「立ってする仕事が多いですが、大丈夫ですか」「深夜の勤務ですが、大丈夫ですか」「何か聞いておきたいことはありますか」などです。
(3)健康診断
採用選考時に健康診断を画一的に実施することは就職差別につながる恐れがあるため、職務遂行能力を判断するために必要な場合は、業務との関連性を十分に説明し、本人の同意を得た上で必要な検査項目のみを行ってください。
(4)採否の決定
・適性や能力に基づき、公正かつ総合的に検討してください。
高校卒者は成長過程にあるので潜在的な能力や、採用後の教育訓練による可能性についても考慮することが望まれます。
・高校生は、1社の結果が出るまでは次の会社に応募できないので、
結果はできる限り速やかに通知してください。
・採用内定は文書で行い「採用の時期」「採用条件」を明記することが望まれます。
・不採用者の提出書類は速やかに学校長宛に返信してください。
不採用理由を明示する義務はありませんが、問い合わせがあった場合に回答が不十分であると、身元調査を行ったのではないか等の疑問につながることがあります。
(5)内定取消・内定辞退
原則、内定を取り消すことはできません。あらゆる手段を講じても内定取消を行わざるを得ないときは、ハローワークおよび学校長に通知してください。また、内定者から内定辞退の申し出があった場合は、直接内定者と交渉するのではなく学校を通す必要があります。
(6)提出書類を求める時の注意点
・内定前は、全国高等学校統一用紙以外の提出を求めることはできません。
・入社承諾書以外は入社までは提出させないことが望まれます。
・戸籍謄本、本籍地欄がある身上書を求めてはいけません。
・誓約書等に法令に違反する条項を入れてはいけません。
・身元保証書の提出を求める場合は、その必要性を十分検討してください。
・紛失や目的外利用など、提出書類の取り扱いに注意してください。
・業務上必要のない情報は保管しないようにしましょう。
内定から入社までの注意点
内定の通知はもちろんのこと、その後の生徒への連絡は全て学校を通じて行います。全てにおいて「書面で学校に郵送」が基本。採用時の履歴書に生徒の住所などがありますが、卒業までは学校宛に送付するというルールになっていますのでご注意ください。
大卒新卒の場合などは懇親会やセミナーなど、入社の前に内定者に接触することもあると思います。しかし高校生に関しては卒業まで直接のアプローチは禁じられています。内定から春の入社まで関わり方に制限のある高校生新卒採用ですが、学校の先生に相談しながら生徒のモチベーションにつながる働きかけを探ってみてはいかがでしょう。
新卒の高卒採用に関わるチェックポイントを4点、みてきました。短期で採用活動ができる、先生のサポートを得られる、など他にはないメリットの多い高校生新卒採用。高校生の新卒採用には多くのルールがありますが、仕組みを理解したうえで積極的に働きかけることが重要です。
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