2017年3月卒業予定の高校生の求人・求職状況が厚生労働省から発表されています。最新のデータからわかる高校新卒の就活事情をながめてみましょう。
23年ぶりの「売り手市場」
就職希望の生徒1人あたりの求人数を示す求人倍率は1.75倍。全国平均で前年同期に比べ0.21ポイント上昇しました。これは1994年3月卒(1.98倍)以来23年ぶりの高水準です。6年連続で上昇しており、就職環境は景気回復を背景に改善し続けています。
求人数大幅アップ
求人数は前年比13.3%増の約32万4000人にのぼります。業種別にみると、求人数全体の3割以上を占める製造業は11.4%増。実数が大きく、増加率も高い業種は建設業(13.3%増)や卸売・小売業(14.2%増)、医療・福祉(11.6%増)などでした。
かたや仕事を求める求職者数は0.6%減の約18万5000人で過去最少を記録しました。30年前の約60万人からは3分の1以下に減少しています。地域別の求人倍率は全都道府県で改善し、最高は東京の5.14倍。1倍を下回ったのは青森、熊本、鹿児島、沖縄の4県でした。最低は沖縄の1.72倍です。
景気の上昇で企業業績が向上し、求人数が増加する一方で高卒新卒の求職者数は減少傾向が明らかです。進学率の上昇も要因のひとつですが、今後も少子化による労働力不足が見込まれます。企業の高卒者採用意欲はさらに高まっていくのではないでしょうか。
「団塊世代退職の10年問題」(2007~2016年問題)
1947~1949年生まれのいわゆる団塊の世代。日本の人口構成の中で大きなかたまりとなっている方々の退職による労働力の減少や企業内の技術・ノウハウの継承の断絶が懸念されています。当初は60才になるタイミングで大量の定年退職者が発生すると予想され、2007年問題などと言われていました。
定年延長などの対策で大量リタイアは現実的にはゆるやかに進行し2016年現在、70才で仕事をしている人は4割程となりました。企業にとって技能の受け皿としての若手人材の確保はとても差し迫った問題です。特に慢性的な人材不足と高齢化の進む建設業や製造業では深刻な課題とされています。
平成28年3月の高校新卒の就職実績データをみますと、大規模事業所(従業員1000人以上)の採用増加率は13.0%。大手企業も高卒新卒の獲得に積極的になっているのがわかります。明確な目的のない進学よりも、高校新卒で早くキャリアをスタートさせることの方が正解になるかもしれません。
若く柔軟で適応力の高い高校新卒生を「青田買い」する時代が目の前に来ているのではないでしょうか。今後も売り手市場の傾向は強まりそうです。
今年度の高校新卒者の選考・内定開始期日は9月16日です。高卒での就職をめざす皆さん、自分に合った職場で活躍できるよう、多くの選択肢の中からしっかり選び取ってくださいね。