高校生の皆さんの中には、「地元で就職するか、県外に出て就職するか」で迷ってる人もいるのではないでしょうか。地域によっては「企業の数が断然多い県外の方が就職しやすいのでは」…と思ってしまいがちですが、ちょっと待ってください。ハローワークや学校などの取組みを全面的にバックアップし、県内就職に力を入れる県が最近増えているのをご存知ですか?
高校生に県内企業の魅力を伝える努力
県内での就職率増加を狙い、全国各地で県や企業が地元就職の魅力を伝えるさまざまな取組みを行っています。
長崎県では、「ながさき県内就職応援サイトNナビ」というサイトを作成。長崎県内の企業と高校生を交流させる「キャリアコネクトカフェ」の開催や、積極的に働きやすい環境づくりをおこなっている企業を認証する制度「Nぴか」を導入するなど、高校生に分かりやすく、県内企業の魅力を伝えています。
サイトに載っている「ナガサキ プライド」という2分ちょっとの動画は「あなたの夢は、地元では叶えられないことですか?」と問いかけてきます。地元だから出来ること、地元にいても出来ることがあるよ!という呼びかけは、長崎県の高校生でなくても、県内就職か県外就職かで迷っているあなたの心に刺さるのではないでしょうか。
ハローワークの取組み
労働政策研究・研修機構(JILPT)が2007年に行った調査では、県外大企業が解禁直後に出す求人に応募が集中し、遅れて提出する地元企業への応募者がいないことが問題視されていました。そこで、各県がハローワーク主導で取り組んだのが「地元企業の求人の提出時期を早くする」働きかけです。
・県内求人の早期化を徹底してきた。現在は、この問題はほぼ解消されている(秋田県ハローワーク)
・6月までに求人を出してもらうようさまざまな方法で周知を徹底。その結果、早期提出が地元企業に浸透し、県外企業の求人に遅れをとることがなくなった(島根県ハローワーク)
・知事を筆頭に、地元企業に求人票の早期提出を働きかけた。その結果、2016年には県内求人は9割に達し、それとともに県内就職率も上昇している(高知県ハローワーク)
労働政策研究・研修機構(JILPT)がおこなった、上記のヒアリング結果からも分かるように、2017年の同様の調査で、地元企業の求人票提出が遅れる問題はほぼ解消され、県内就職率の上昇につながっていることが報告されています。
高校生にとって魅力ある新しい就職先の増加
以前は、県内の高卒就職者を増やすには、製造業の雇用を増やすのが一番の早道だとされていました。しかし、若者の人口減少などで求職希望者が増えない現状では、大量の雇用を用意するより、高卒生にとって魅力ある就職先を増やす方が得策であるという考えにシフトしてきています。
近年、製造業での求人率が低下する一方で、建設業、医療・福祉などの分野で求人率が増加し、それと同時に県内就職率も上昇傾向にあります。これは、県内における建設業や医療・福祉の分野の企業が魅力ある就職先であることの表れといえるでしょう。
高校生に地元で働く素晴らしさを知ってもらおうと、自治体や地元企業、学校が協力してさまざまな方法で地元の魅力を発信する働きかけが活発になっています。
「なんとなく、県外で就職」と決めてしまう前に、地元で働くメリットを再確認し、地元企業に目を向けてみませんか?新しい発見があるかもしれません!