令和元年度の高卒新卒求人状況が、厚生労働省から発表されました。
ここ最近の高卒就職市場は、就職希望の高校生より企業側の求人数が多い「売り手市場」となっています。令和最初の求人状況はどうだったのか、詳しく見ていきましょう。
高校生の求人倍率は9年連続で増加
厚生労働省の発表によると、令和元年7月時点で高校新卒の求人率は2.52倍。高校生1人あたり2.52件の求人があることを表しています。求人数は、9年連続で上昇しており、過去最高水準だった前年から、さらに4%増加しています。
リクルートワークス研究所の発表では、大卒者の求人率は1.83倍。この数字からも高校新卒者の人気が高いことが分かります。
求人数は443,346人で、前年より約17,000人増加。6県をのぞき、ほとんどの都道府県で上昇しました。しかし、高卒で就職を希望する高校生の数は176,225人と、前年から約4000人減っています。企業の採用難が浮き彫りとなる結果となりました。
都道府県別に見る求人倍率
地域別に見てみても、東北地方以外は、全国的に求人数が増加しています。求人倍率が2倍を超えたのは、24都道府県にのぼり、全国平均の2倍超えは4年連続を更新しました。一番多かった東京の求人倍率は7.51%。高校生1人に約8社の企業が「欲しい!」と手を挙げている状態です。
「製造業」の求人数は微減も「建設業」は高い増加率
例年、圧倒的に求人数が多い「製造業」ですが、令和元年の求人数は昨年の140,080人に比べて138,258人と微減。しかし、高校生に人気のある食品製造業は昨年度より2.2%求人数が増加しました。
業界別に見ると、「製造業」の次に求人数が多いのが「建設業」の66,231人。前年度より9.5%増加しています。慢性的な人手不足が解消されていないことが分かる数字ですが、最近は普通科の高校からの採用も積極的に行っており、高校生からの注目も高い業界になっています。
もっとも増加率が高かった業種は、「電気・ガス・熱供給・水道業」の19.7%。地震や台風による豪雨などの災害が続く中、復旧にむけての人手不足が懸念されている業界です。
中小企業の高卒採用意欲は高まるばかり!
企業の規模別に見てみると、従業員1000人以上の大企業の求人数は40,216人と、前年に比べて約400人減となりましたが、999人以下の企業では、去年より17,622人増えて403,130人。求人増加率は4.3%になっています。
特に、高卒新卒求人の約60%をしめる従業員99人以下の企業の求人数は、265,738人で前年度より5%も増加。大企業からの求人数は微減したものの、中小企業からの求人数は依然高い数字を保っています。
高卒生「でも」ではなく、高卒生「が」いい!という企業が増えています
大卒生が希望数採用できないから高卒生を採用しよう、という風潮はもう昔のこと。人材不足で高校生を採用していた企業も、高卒生のポテンシャルの高さに気づき、研修や教育体制をしっかり整えて、積極的に高卒採用に乗り出しています。
高校生の心をつかむアピール力が成功のカギ?!
就職を考える高校生には、チャンスが広がる絶好の機会です。しかし、企業にとっては、高卒新卒生の獲得競争が激化し、希望採用数が確保しづらいのが現状です。
高卒就職生を受け入れる体制を整えるとともに、高校生が会社に興味をもつような働きかけが必要不可欠となるでしょう。積極的に会社見学会を開く、動画や写真の多い採用サイトにしてみる、などは、効果的な方法のひとつでしょう。
来年の求人票を出す前に、できる限りの対策を早急に行うことが、採用活動の成功を左右するカギとなるのではないでしょうか。