安定した就職先として、常に人気のある国家公務員。近年、成績優秀な高校生の中には大学進学を選ばず、国家公務員の受験を考える人が増えてきています。高卒だけど、国家公務員になれるの?なれるとしたらどのような国家公務員になれるの?こうした悩みを持っている高校生も多いかもしれません。
でも、大丈夫!もちろん、高卒でも国家公務員になることができます。過去のデータを見ながら、高卒から国家公務員になるためにはどうすればいいか、ご紹介したいと思います。
国家公務員になるには?
高卒であれば、国家公務員一般職試験(高卒者試験)と専門職試験が受けられます。
一般職は、各省庁など様々な行政機関に配属され、主に事務処理などの定型的な業務を行う職種になります。専門職は、皇宮護衛官・刑務官・入国警備官・航空保安大学校・海上保安学校学生などがあり、各職場において専門的な知識・スキルを学びながら任務に当たります。
やりたい仕事を考えよう!
仕事の種類により、受ける試験も変わります。一般試験の試験区分には「事務」・「技術」・「農業土木」・「林業」があります。どの試験を受験するかは、自分がやってみたい仕事を調べた上で、決めます。また、試験に受かった後に、希望する各府省での「官庁訪問」という面接があるので、どの省庁で働きたいのかも考えておく必要があるでしょう。
国家公務員の仕事を知るための方法として、以下の3つがおすすめです。
・各府省のホームページを見てみる
・各府省が作成している業務パンフレットを入手してみる
・各府省が実施する説明会やセミナーに参加してみる
H29年度の採用状況
具体的に、一般職の採用状況を数字で見てみましょう。
H29年度の申込人数は13,958名(4,545名)で、内訳は以下の通りです。※()内は女性の数です。
事務職 12,344名(4360名)
技術職 1,215名(137名)
農業土木 216名(16名)
林業 183名(32名)
そのうち、合格者数は2,690名(962名)で、内訳は以下の通りです。
事務職 2,121名(886名)
技術職 465名(62名)
農業土木 68名(5名)
林業 36名(9名)
合格率は約20パーセントになります。男女比では、男性の合格率は約18パーセント、女性の合格率は約21パーセントになっています。5人に1人が合格という狭き門ではありますが、受験者数は年々増加傾向にあり、高卒の国家公務員への人気が高いのがうかがえます。
採用スケジュールは?
H30年度の採用スケジュールを見てみましょう。
5/8 受験内容をHPに掲載
6/18~6/28 インターネットでの申し込み開始
(郵送、持参での申し込みは6/18~6/20)
9/2 第一次試験
10/4 第一次試験合格発表
10/10~10/19 第二次試験
11/13 最終合格発表
官庁訪問
H31.4/1 採用
注意点は、最終合格発表=採用ではないということです。最終合格の後、希望する官庁への官庁訪問があり、そこでの採用面接で合格して初めて採用内定を勝ち取ることができます。
先輩に聞く、仕事の魅力!!
実際に国家公務員ってどんな仕事をしているのか?現場で働く先輩のインタビューを見てみましょう。自分の目指すものが見えてくるかもしれません。
・法務省(横浜地方検察庁・刑事部)で働く先輩
志望動機は?
刑事事件という枠のなかで、広くさまざまな経験ができるところに魅力を感じました。ひとつひとつ違った生の事件を扱うので、毎日新鮮な気持ちで仕事に取り組める点や、刑事事件を通して人と関わる機会が多いところにも惹かれました。
仕事のやりがいは?
事件の内容や、捜査の進み具合などをよく理解したうえで、検察官の指示を受け、警察などへの補充捜査を依頼したり、手続きに必要な書類を作ったりして、検察官と二人三脚で事件を解決するところにやりがいを感じています。刑罰権の行使に関わる責任重大な仕事ですが、勉強会や研修も充実しているので、不安もなく仕事に取り組めています。
・内閣府(大臣官房・人事課)で働く先輩
志望動機は?
内閣府に興味をもった1番の理由は、防災業務に興味があったからです。内閣府が防災担当のほか、さまざまな業務を幅広く掌握していることを、業務説明会などを通して知りました。ここでなら、毎日新鮮な気持ちで働けるのではと思い、志望しました。
仕事のやりがいは?
今は、内閣府に所属する職員の休暇や研修などの働き方に関する仕事をする大臣官房人事課にいます。職員の研修では、実施する内容の検討や企画、受講者の募集、当日の進行などを、係で作業分担してすべて行います。働く環境に関しては、職員から多く問合せがあるので、制度官庁に確認しながら答えるようにしています。解決した時は、職員から感謝されることが多いので、とてもやりがいがあります。
・環境省(大臣官房・総務課・広報室)で働く先輩
志望動機は?
どんな仕事が自分に向いているのか分からず悩んでいた学生時代、就職先の候補のひとつという思いで公務員試験の説明会に参加しました。そこで、公務員は幅広い仕事が経験できるということを知り、チャレンジしました。
仕事のやりがいは?
今は、環境省のTwitterや広報誌などで、省の取り組みや施策を紹介したり、環境イベントの運営や企画をしています。地方事務所では、予算管理や職員の庁舎や勤務の管理など、事務所の管理業務に携わっていました。本省と地方、事業部門と管理部門で業務の内容はがらりと変わりますが、それぞれに違う面白みがあり、それが自分の糧になっています。
いかがだったでしょうか?今回ご紹介したのはほんの一部の仕事です。高卒から国家公務員になる可能性について理解していただけたと思います。まずは、どんな仕事があるのか調べてみましょう。興味を惹かれる仕事が見つかるかもしれません。
人事院では、高校生にむけて、国家公務員の仕事内容、採用試験の仕組みをわかりやすく教えてくれるイベントも行っています。興味がある人は人事院のHPをチェックしてみてください。
国家公務員の試験には難関試験と言われる筆記試験がまずあります。最初の関門になりますが、きちんと計画的に勉強を進めましょう。「高卒で国家公務員」は夢ではありません。挑戦したい気持ちが芽生えたら、ぜひ頑張ってみてください!!