保護者や高校生は進路についてどのように考えているのでしょうか?
全国高等学校PTA連合会と、株式会社リクルートマーケティングパートナーズの合同調査「高校生と保護者の進路に関する意識調査」によると、進路について、家族で話し合っているという高校生は全体の79%。
高校生の7割が進路について不安を感じており、保護者の7割が「アドバイスをするのは難しい」と回答。保護者も高校生自身も、進路についてのコミュニケーションの難しさを感じているようです。
まずは親子で進路について何を話しているのかを知る
先生方が進路の話をしようにも、生徒がうまく話をしてくれなかったり、聞いているのかいないのかわからないことも多いのではないでしょうか。「進路について」という重い話をする際には、「考えているのか」「どうしたいのか」を性急に問うのは禁物です。
保護者とはどんな話をしているのか、友人と話すことはあるのかなど、子供の置かれている環境・状況がわかるような話題から聞くといいでしょう。話しているうちに、自分の考えていることが少しでも整理できれば、次に「わかっていること」「わからないこと」をそれぞれ聞き、さらに生徒の状況を把握することができます。
最初はざっくりした話しでも、将来どんなことがやりたいのかが少しずつ出てくると、何を聞けばいいかが見えてきます。「はい」「いいえ」で答えられる質問ではなく、考えて答えなければならない質問を投げかけてみてください。生徒にとっては自分について言葉にするチャンスになり、より生徒のことを理解できるようになるでしょう。
今は、「子供のやりたいようにさせてあげたい」と考える保護者の方が多いようです。しかし、自らの力だけではやりたいことが見つからない子供も多く、進路について考えること自体を億劫に感じて先送りしたり、将来について無関心になったりしがちです。
学校が最も効果的にサポートできるのは、子供により多く語らせて、将来についてポジティブなイメージを醸成することではないでしょうか。
子供の不安を感じ取れればアドバイスが変わる
高卒で就職をするというのは、子供にとって不安なことであるという理解が必要だと思われます。進学する仲間が多い環境であれば、なおさら。前述の調査で、保護者がアドバイスをするのが難しいと考える理由として、「最新の進路情報を知らない」「社会がどうなるか予測がつかない」「経済的な理由で、子どもの選択肢を狭めざるを得ない」の3つが上位でした。
現状を的確に伝えてあげること、卒業後の世界について事例を話し、視野を広げることは、保護者・生徒がともに求めている専門家ならではのアドバイスです。
自ら考え、意見を伝えられるようにガイドする
高校生は、自分が将来必要とされる能力を「主体性」「実行力」「発信力」と捉えており、保護者が身に付けさせたいのは、「主体性」「実行力」「規律性」です。先々必要な力についての認識は、親子とも近いようです。
子供にたくさん話させ、質問によって考えさせることで、主体性や発信力が高まれば、より具体的でポジティブな将来像を描きやすくなります。まずは、聞くこと。そして、話させること。「親子の認識、悩み、不安」を理解して、密度の濃いコミュニケーションができるようにしましょう。
文中の調査の結果はこちらから閲覧できます。
「高校生と保護者の進路に関する意識調査」