生まれた時からスマホやパソコンに囲まれ、ネットがあるのは当たり前の「デジタルネイティブ」。そんな日本の高校生が遅れている?意外な調査結果に驚かれる方が多いのではないでしょうか。
前回は、日米中韓4か国の比較調査結果から浮かび上がった、日本の高校生の「勉強の仕方と人生観」についてご紹介しました。今回は、他国の高校生と大きな差が出た「ICT(情報通信技術)の活用」に関する項目から、気になる点について考えてみたいと思います。
ICTスキル最下位!?
平成29年3月、国立青少年教育振興機構から公表された「高校生の勉強と生活に関する意識調査報告書(日本・米国・中国・韓国の比較)」を見てみましょう。
ICT(通信情報技術)の活用について「よくする」「時々する」「あまりしない」「まったくしない」の4段階の回答のうち「よくする・時々する」を合計した数値のグラフはかなりショッキングです。
日本の高校生のICTスキルは5項目すべてにおいて最も低い数値。しかも他の3か国の高校生との差が大きいのです。それぞれトップの国と並べた数値を見てみます。
「Wordなど文章ソフトを使うこと」(米国85.6%、日本20.8%)
「Excelなど表計算ソフトを使う事」(米国27.1%、日本13.1%)
「PowerPointなどプレゼンテーションソフトを使うこと」(米国74.5%、日本11.1%)
「自分のブログやホームページを作成・更新すること」(中国29.6%、日本8%)
「簡単なプログラミングをすること」(韓国23.4%、日本4.8%)
常にITに囲まれ、使いこなしているようにみえる彼らですが、社会で仕事をするときに使うことの多い、ごく一般的なソフトウェアにはなじみがないことがわかります。
インターネットの活用
では、インターネットの学習利用に関する項目はどうでしょう。どの国でも「ニュース関連の情報をみること」は7割を超えています。また「インターネットでの勉強は効果的である」という認識も共通です。
しかし他の面では、日本は一番低い数値であり、次の項目ではかなり低い値を示しているのが気になります。
「インターネット上の質問サイトにわからないことを質問すること」(7%、韓国40.8%)
「インターネット上にある練習問題や試験対策問題をとく」(13.7%、米国47.6%)
「学習ソフトやアプリを使って勉強すること」(29.2%、中国72.7%)
「情報」の授業はあるけれど
高校の教科学習として「社会と情報」「情報の科学」の2科目があります。学習の目標は「情報及び情報技術を活用するための知識と技能を習得させ、(中略)社会の情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てる」となっていますが、十分に効果をあげているとは言えないようです。
仕事を始めてから、並行して必要なICTスキルを身に付けていくことは可能です。しかし、他の国の高校生たちは既にICTやインターネットを学習や自己表現のツールとして「利用し」「使いこなして」います。
生活や仕事に欠かせない情報通信技術。高校生の積極的な活用をうながす取組みが、必要なのではないでしょうか。