効果的なキャリア教育を創る実践のベースとなる情報をご紹介するシリーズ。「生徒たちの今を語るデータ」「キャリア教育をめぐる動向」についてとりあげてきました。今回はキャリア教育の中核にしたい「成功するインターンシップ」のポイントをピックアップしてみました。
普通科高校のインターンシップ
平成22年度の公立高校におけるインターンシップ実施校率は職業学科で86.5%、普通科67.4%となっています。しかし体験者率となると、職業学科で61.4%、普通科では16.7%。必ずしも十分とはいえない状況です。
インターンシップは学習意欲の向上、進路選択の動機づけ、異世代コミュニケーション、仕事に必要なスキル、社会におけるマナーの大切さなど高校生に発見や成長をもたらす大変意義のある活動です。教育現場でインターンシップを導入、拡充していくためのヒントをご紹介します。
ここが違う!成功するインターンシップ
・その場限りのイベントにしない計画性と連続性。
・充実した事前学習で変える、体験での学びの質。
・体験先での仕事に必要な職業能力と学校での学びの関連づけ。
・体験後の変化に留意した事後指導の充実。
さて、具体的にはどのようにすればよいのでしょうか。
体験先はどうやってみつければいいの?
身近な地域の資源を最大活用しましょう。市区町村の関係部署や商工会議所などの地域経済団体、同窓会やPTAとの連携も効果的です。ハローワークやジョブカフェにもインターンシップ受入事業所や実施に関わる情報が豊富にあります。NPOなど外部団体の支援をあおぐのも一つの方法です。
連続した取組みにしていくためにも、産業・業種別の体験先リストを作成するとよいでしょう。生徒の進路希望にマッチした体験先を提供したいですよね。生徒の希望を把握するとともに、高校生自身が体験先を確保することも可能です。
どんな準備が必要なの?
一過性の行事にしないことが大切です。ます3年間のキャリア教育計画への位置づけを明確に。そのうえでインターンシップの意義や参加目的を確認し、体験先の決定を指導していきます。
生徒がお世話になる職場や業務内容を知り、体験期間中のシミュレーションをしておく必要があります。生徒が自信を持ってのぞめるよう準備を。外部講師による講演会などは具体性と良い緊張感をもたらすでしょう。
どんな振り返りが大事なの?
「内面の変化をしっかりと認識させる」を意識した事後指導が重要です。具体的には
・体験先への感謝を伝える(令状作成、事後訪問)
・体験全体の振り返り(日誌、感想文)
・体験の共有化や比較(発表活動)
発展的に継続するには?
体験先の事業所からのアドバイスや提言に丁寧に対応しましょう。緊密な情報交換によりその後も活動を継続できる信頼関係をつくることもとても重要です。また、学校内でノウハウを蓄積するためにも、活動全体に対する多様な視点からの評価を求め、成果と課題の検証、取組の総括と次年度への引継ぎが不可欠です。