教育活動を通したキャリア教育の重要性に注目が集まっています。進学か就職かの選択が迫っている高校生に、どのようなキャリア教育が必要なのか、悩んでいる先生も多いのではないでしょうか。
工業、農業、商業などの専門科高校では職業観と結びついた授業が行われることが多く、高校生は学校生活の中で「働くこと」を意識できます。一方、普通科高校では授業と職業の関係性が見えにくいので、生徒の意識が「働くこと」に向かいづらいのが現状です。普通科高校においては、体系的、意識的にキャリア教育を進める必要があります。
キャリア教育に必要な4つのポイント
では、具体的に何から取り組めばいいのでしょう。効果的な取組みを4つご紹介したいと思います。
「学びの意義」を伝える
学校の授業と自分の将来との関係が掴み切れないために、「勉強の目的が分からない」「興味を持てない」「面白いと思わない」と思う高校生が多いという調査結果(OECD生徒の学習到達調査(PISA)より)があります。目先の試験のためだけに知識を無理やり詰込んでいる現状が伺えます。
一番身近な社会人の先輩でもある高校の先生が、自分の担当している教科の魅力や面白さ、この先どのように重要になってくるのかを伝えることは、職業観を養うことに繋がります。数分であっても、授業のおりに少しずつ話すことができれば、生徒が「働くこと」「学ぶこと」を考えるきっかけになるでしょう。
インターシップの導入
国立教育政策研究所生徒指導研究センターの「職場体験・インターシップ実施状況等調査」によると、インターシップを実施している公立の普通科高校の高校生は、約17パーセントしかおらず、4日以上体験した学生は2パーセントにも及びません。
インターシップは、「社会に触れ職業観を養う」「様々な価値観に触れる」といったキャリア教育にとって大切なことを学ぶいい機会になります。手間をかけてでも、やってみる価値が十分にある取組みです。
社会人講話を活用する
現在、9割程の高校ですでに実施されている社会人講話ですが、講演者と生徒のそれぞれに、事前情報の共有をしておくことが重要です。講演者には、講話で生徒に何を気付いて欲しいかなどの狙いや目的を明確に伝えましょう。生徒には、講演者を選んだ意図や生徒が興味を引きそうなポイントを事前に指導しておくことで、「聞く態勢」を作ることができます。
インターシップにも言えることですが、社会人講話を受けた後、さらに事後学習をするとより効果的でしょう。感じたこと、学んだことを生徒全員で共有することで、理解が深まります。
学校行事をフル活用する
文化祭や体育祭は、準備やチームプレーを通して人間関係を築く力、問題を解決する力、交渉する力など、社会に出た時に必要となる能力が育つキャリア教育の要素がたくさん詰っています。
大切なのは、生徒自らが学校行事を通して、社会に対応する力や自立に必要な力が身についていると実感できることです。先生が積極的に「文化祭の出し物で意見が対立したけど、よくまとめあげたね。社会に出ても役に立つ力だよ」と話し、生徒に意識させることがキャリア教育に繋がります。
いかがだったでしょうか?
「キャリア教育推進のために新しいことを始めなければ!」と意気込みがちですが、日常の高校生活や、学校行事を改めて見直すことでできるキャリア教育もたくさんあります。この記事が、キャリア教育を進めていくきっかけになれば幸いです。