高校インターンシップの現状
「平成27年度における職場体験・インターンシップ実施状況について」というレポートが国立教育政策研究所から発表されました。文部科学省の推し進めるキャリア教育の中でも、高校生に与えるインパクトが大きいインターンシップ。最新のデータから浮かびあがる状況とその課題を考えてみました。
実施率上昇
全国の公立高等学校4102校の平成27年度インターンシップ実施率は、全体平均で81.8%(前年79.3%)、学校単位での実施率は2.5%アップしました。
「在学中に1回でも(インターンシップを)体験した生徒の割合」も各学科すべて、前年度より上回っています。工業・商業など職業に関わる学科においては65.3%と高い割合を示しており、カリキュラムとして定着しつつあることがわかります。
普通科の体験者の割合
一方普通科高校においては、学校単位での実施率こそ8割となっていますが、実際にインターンシップを体験した生徒は20.1%にとどまっています。つまり、16%程度の積極的な生徒しか経験していないということになります。
進路・職業選択のヒントや社会とのつながりを感じられるインターンシップは、能動的に学校外の活動を選択しない生徒にこそ重要な取組みです。公立中学校の「原則として全員参加」のように、全員が体験できるよう位置づけを変えていく必要があるのではないでしょうか。
事前・事後指導の課題
インターンシップをより充実した価値あるものにするために役立つ事前・事後指導。かける時間はそれぞれ1~5時間が7割弱となっています。また「0時間」という回答が事前指導14.2%、事後指導19.0%にのぼっており、全く行わない場合もあるようです。
事後指導=レポート作り?
事後指導で最も重視されているのは「報告書やレポートの作成などインターンシップを評価させる指導」(47.0%)。経験をこれからの生き方につなげて考えさせる指導(18.2%)、成果の共有(16.7%)、今後の教科や学校生活につなげる指導(12.4%)とつづきます。
なかでも「ポートフォリオ等を活用して、経験を卒業後の進路選択につなげる指導」が5.7%と低いのは残念です。生徒それぞれの進路選択のイメージを広げ発展させていくきっかけとして、インターンシップ体験をさらに活用していくことが望まれます。
時間に限りあり
体験日数別実施率を見ますと、職業に関する学科は2~3日57.0%、4~5日25.1%と比較的多くの時間をとっていることがわかります。しかし、普通科では1日と2~3日をあわせて92.8%。他の教科学習との兼ね合いなどでなかなか時間を取りづらい現状のようです。
実施にあたり、先生方の負担が大きいという課題もあります。外部からの支援など、学校の現状に合わせて高校でのインターンシップをサポートする仕組みが必要なのではないでしょうか。