地域の銀行と高校生?
「地元の優良企業」の情報。これは高卒で就職を考える高校生にとってとても関心の高いものです。「地元の企業のことをよく知っている」といえば‥そう、地域の銀行さんです!
銀行は地域経済に大きな影響力を持つことはもちろん、高校生にとっても、街にある看板は見慣れた、親しみの持てるもの。埼玉県熊谷市が結んだ地元の金融機関との協定が、高校生と地元企業の出会いを後押ししています。
若者が定住するまちづくり
平成28年8月、熊谷市は埼玉りそな銀行などの地元金融機関と「地方創生に係る包括的連携協定」を締結しました。連携の目的のポイントは若い世代が仕事を続け、子育てをしながら暮らしやすいまちづくり。
埼玉県の平成29年3月高校卒業の就職内定者数は7236名。そのうち2390名は県外への就職を決め、県内就職率は67%となっています。高校新卒で就職する人の実に1/3が地域を離れるというのが現状です。
そこで「若者定住による地域経済の活性化」をめざす取り組みの一環として、地元の県立高校で合同企業説明会が開かれました。地元の会社について、高校生が興味を持つチャンスになるこの事業。卒業後の進路選択に役立つと同時に、地域内で暮らす若者の増加につなげる狙いがあります。
地元企業の魅力をアピール
高校生にとって地元の企業活動を知るチャンスは多くはありません。この就職説明会のポイントは、企業の担当者が学校に出向き、全生徒を対象に行うこと。意欲が高く、自分から情報収集をする生徒だけではなく、明確に進路を意識していない生徒にも、将来を考えるきっかけになることでしょう。
平成29年6月、埼玉県立妻沼高校で3年生を対象に合同企業説明会が行われました。熊谷市内に職場がある建設業や製造業など7社が参加。全大会の後、生徒それぞれが関心を持った企業の説明を受けたとのことです。
市内に事業所がある企業ですので、高校生には「看板や事務所、店舗があることは知っている」という存在の会社。
・どんな事業?
・どんな人が働いている?
・職場の雰囲気は?
などを知ることができる、貴重な取り組みです。企業にとっても、雇用につながるだけではなく、地元の若者に興味や親しみを感じてもらう手がかりになったのではないでしょうか。
いいことづくめ!
・若者の定住を促し地域を活性化したい地元自治体
・高卒新卒者を雇用したい企業
・地域経済を活発にしたい銀行
・進路の選択肢を広げるために生徒と社会をつなげたい高校
地域経済、企業に影響力のある金融機関がカナメとなるこの取り組み。高校生の進路選択、地域の活性化など、さまざまなニーズにこたえるものです。今後、各地に広がることが期待されます。