文部科学省の発表によると、高卒の求人数は約47万7千人、求人倍率は2.8倍。深刻な人材不足で売り手市場が続く中、高卒就職生の人気は過熱するばかりです。
特に、即戦力として期待される工業高校・商業高校卒の人気が高く、就職率も工業科は99.5%、商業科は98.9%と驚異的な数字が並びます。
「素直さ」や「潜在的な成長力」が期待されている高卒就職生ですが、工業科、商業科の高校生がダントツに人気なのは、どうしてでしょうか?今回は、その理由を探ってみましょう。
「明確なビジョン」を持ってる高校生が多い
工業高校・商業高校と聞くと、「勉強が苦手な子が行く高校」というイメージが先行しがちですが、実は高校選びの時から就職を視野にいれている生徒が多いのをご存知ですか?
ある企業の採用担当者によると、「工業高校や商業高校を選ぶ生徒は、『手に職をつけていい会社に就職したい!』と明確なビジョンを持って入学する子が多い。特に地方の工業高校はその傾向が強く、優秀な人材の宝庫。」なのだそうです。
「勉強が苦手」や「家庭の経済状況」などで就職を選ばなくてはいけない生徒ばかりではなく、高校選びの時から就職を視野にいれて行動している工業科・商業科の高校生は、社会人としての自覚をしっかり持って入社してくるので、企業にとって大きな戦力になります。
目標が明確なので、資格取得に積極的
「いい会社に就職して稼ぎたい」という明確な目標があるので、授業を受ける態度も真面目で、資格取得にも積極的に取組みます。優良企業への推薦を勝ち取るために、生徒同士で切磋琢磨するので、おのずと個々のレベルも上がります。
また、高校の授業でも、就職に直結する知識や資格を取得できるプログラムが多く用意されています。高校在学中に国家資格レベルの資格を取得できる学校もあり、高卒でありながら即戦力になる要素が多いのも魅力でしょう。
「自分で生きていく」という自立心がしっかりある
親元を離れ、優良企業が多い都市部に出て働く覚悟があるので、早い段階で自立心を持っている高校生が多いのも特徴です。「自分で稼いで生活する」「家族に仕送りしたい」という強い気持ちがあるので、仕事に対しても前向きに取組む姿勢が見られます。
辞めないガッツがある
高卒採用で一番のネックである「早期離職」も、工業高校・商業高校の高卒就職生においては少ない傾向があります。
毎年、地方の工業高校や商業高校を回って、高卒生を採用している採用担当者によると、「明確な将来プランがあるため、工業科や商業科卒の高卒就職生はモチベーションの維持が上手。少々の困難があっても、前向きに働こうという姿勢が見られる。早期離職率も低い。」と、高い評価を得ています。
「即戦力になる」だけではない、工業高校・商業高校卒生の魅力
専門的な知識や資格を持っているため、即戦力として期待される工業高校・商業高校の高卒生ですが、彼らの本当の魅力は「明確な目標や将来のビジョンがある」ことです。
上記に述べてきたように、モチベーションの所在がハッキリしている高卒生は、働くこと、学ぶことに前向きなので、簡単には辞めません。どんどん知識やスキルを吸収して成長していくので、会社にとって貴重な戦力となります。
これからも、ますます高卒人気が過熱することが予想されます。優秀な人材を確保するためにも、目先の採用だけにとらわれず、日頃から様々な高校を訪問し、信頼関係を築きながら、高校生の持つ潜在的なポテンシャルにも目を配ることが、高卒採用の成功に繋がるのではないでしょうか。