高卒の新卒採用に関心を持つ企業が増えています。新卒採用は空前の売り手市場。「新卒採用は大卒採用がメイン」という企業が多いものの、必要な人数の確保に苦労するケースが増加しており、若手人材獲得の新たなチャネルとして高校生の新卒生が注目されているのです。「興味はあるけれど…」という方に向け高卒採用のメリットとスケジュールなどをご紹介します。
やる気のある人材採用のチャンス
高校生が高卒での就職を考える動機はさまざまですが、経済的な理由や早く自立したい、という場合「しっかり仕事をして稼ぎたい」という欲求の強い生徒が多くなります。高卒新卒生が活躍している企業では「素直で真面目」と評価されており、地元志向の強い高校生採用は地域の優秀な人材を獲得するチャンスになります。
低い採用コスト
高卒新卒採用の求人・採用活動は、ハローワークを通したうえで学校へ直接アプローチするというルールとなっており、採用コストが非常に低いのも特徴です。高校生が卒業するまでは全ての連絡の窓口は学校となりますので、かかる費用は書類の印刷や郵送費、学校訪問や生徒の職場見学の際の交通費など。自宅通勤の可能な生徒であれば、寮なども不要なので採用後の負担も抑えることができます。
短期間の採用活動、内定辞退ナシ
高卒新卒採用の実質的な活動期間は学校と接触を始められる7月から採用選考を行う9月まで。高校生活に支障のないよう、スケジュールが組まれています。高校生の企業への応募は「1人1社制」の単願が基本。内定を出せば、ほぼ採用が確定しますので、大卒新卒採用のように実際の入社人数が読めないということがありません。
注意するポイントとスケジュール
では具体的なスケジュールと注意点についてご説明しましょう。
・5月 ハローワークで求人申し込み説明会開催
初めて高卒採用を行う場合は「参加必須」としているハローワークが多いようです。新しい法律の適用やルールの通知などの説明もあるので参加することで最新情報が把握できます。
・6月 ハローワークでの求人票受付開始
ハローワークに求人票を提出します。書式は全国統一ですが、高校生の目に留まり応募を促すよう工夫しましょう。必要な情報をきちんと記載することはもちろん、高校生にわかりやすい、響く内容であることが大切です。
・7月1日~ ハローワークより求人票交付開始
受理印の押された求人票をハローワークから受け取ります。コピーを取り、募集をかけたい高校へ持参、もしくは送付します。学校によっては持参された求人票を別の扱いにする場合もあるとのことですので高校生にアピールできるようパンフレットなどを添えるのも効果的です。
・7月下旬~8月上旬
応募前職場見学を実施します。入社後のミスマッチを防ぐためにも、仕事の内容や職場の雰囲気を伝え、高校生自身に自分に合うかどうかを考えてもらう必要があります。高校生の応募は1人1社に制限されていますので、きちんと職場を確認してもらったうえで第一志望として選ばれなければなりません。
・9月5日~ 応募書類の送付開始
学校の調査書とともに応募書類が届き始めます。学校に対し、なるべく早く選考日程などの案内を伝えましょう。
・9月16日~ 採用選考開始
高卒新卒採用は面接の実施が必須とされており、適性試験などと同日実施するケースが多いようです。高校生は単願制のため不合格がわかってから他の企業へ応募します。採否の結果は基本的に1週間以内に学校に通知することが求められます。
・10月、11以降 複数応募開始
タイミングは地域に寄りますが、同時に複数の企業に応募することが可能になります。
・内定以降
高校生の学校生活を優先させるため、卒業までは生徒に直接連絡をとることが禁止されています。全て学校を通して行ってください。大学生のように内定者懇談会や社内行事への招待などがしづらく、内定者とのコミュニケーションや入社モチベーション維持に難しさを感じる場合がありますが、先生を通して情報提供するなどの働きかけをすることができます。
ルールの目的は「高校生を守ること」
細かいルールがあるようですが、目的の中心は「高校生の保護」。意味を理解すればさほど難しいことはありません。ただ、企業と高校生の接点が制限されることが早期の離職をひきおこすミスマッチの遠因にもなっています。自社についてしっかりと理解したうえで、適性のある高校生に応募してもらえるよう求人、採用戦略を練ることも今後必要になりそうです。