人材不足が深刻化する一方で、高卒就職生の人気が続いています。厚生労働省発表によると、平成31年3月に高校を卒業する生徒の内定率・求人倍率はともに過去最高を更新しました。詳しく見てみましょう。
高校生の求人倍率、就職内定率ともに過去最高!
厚生労働省発表の高校新卒者のハローワーク求人における各状況の取りまとめによると、平成30年11月末時点で、高校生の就職内定率は88.6%。前年同時期と比べると0.5ポイントの上昇になります。高校生1人あたりの求人数を表す求人倍率は2.71倍で前年同期比0.27ポイントの上昇です。
高卒で就職を希望する高校生の数は約17万人強で、前年度とほぼ変わりません。一方、求人数は約47万人。前年の同時期と比べると約11%も増加しています。高卒就職生の人気の高さが、数字にも表れています。
産業別における求人状況
産業別にみてみると、求人が圧倒的に多いのが「製造業」です。約15万人の求人があり、前年度から13.3%増加しています。製造業の中でもっとも求人数が多いのが、「輸送用機械器具製造業」で、25,285人。大手自動車メーカーなどが積極的に若手採用を増やしています。高校生になじみの企業が多く、人気の就職先である「食料品製造業」が20,867人と続きます。
求人の増加率が最も高いのが「ゴム製品製造業」の22.3%。製造業の中では断トツの増加率になります。タイヤだけでなく、医療や介護方面からもニーズがあり、ゴムの需要が高まっている産業です。
産業別の求人数に目を戻すと、「製造業」の次に多いのが「卸売業、小売業」。約6万人の求人数で、店舗販売やスーパーなどからの需要が伺えます。もっとも増加率が多い産業は「運輸業、郵便業」で、前年と比べて22.7%増加。慢性的に人手不足が問題となっている業種です。
企業規模に関係なく求人が増加傾向
大企業(従業員1,000人以上)の求人数は、41,703人。前年の同時期と比べて5,000人以上増加し、増加率も14.4%と高い数字になっています。従業員が300人~499人の企業の求人が前年比12.9%増加しているのを筆頭に、中小企業の求人も平均して2桁近い増加率です。企業の規模に関係なく、若手の人材を求めていることが分かります。
高校生の売り手市場、企業にとっては厳しい状況
平成30年11月の段階で、就職内定率は88.6%と求人倍率とともに過去最高を更新していますが、求職者数(高卒で就職を希望する高校生の数)は前年とほぼ同数。高校生を採用したい企業は苦戦を強いられています。
少子高齢化が社会問題となっている今、若手の人材確保は企業にとって最優先課題です。今まで大卒採用中心だった大企業のなかにも、高卒就職者の潜在能力に気づき、教育する時間を費やしても採用したいと考える企業が増えています。
大企業も参戦してきた高卒採用。これからますます激化することが予想されます。若手人材を採用したいと考える企業は、会社をあげて積極的に高校生を採用する仕組みを考えていく必要があるのではないでしょうか。