働くことに不安を感じている若者が多いことが、内閣府が公表した平成30年度版の「子ども・若者白書」より明らかになりました。
「子ども・若者白書(旧青少年白書)」とは、子ども・若者育成支援推進法に基づき、高校生を含む16~29歳の子どもや若者の現状と、政府が実施した支援施策についての報告書です。平成30年度版の特集「就労等に関する若者の意識」の結果の一部をご紹介しましょう。
若者が抱える不安とは
「子ども・若者白書」によると、働くことに対して若者が抱える不安で上位を占めたのは以下のような回答でした。
・十分な収入は得られるのか
・老後の年金はもらえるのか
・しっかり仕事ができるのか
・仕事とプライベートは両立できるのか
・職場での人間関係はうまくいくのか
働く意欲はあっても、「社会に出ること」や「働くこと」に対して、未知なことが多すぎるため、不安がぬぐえないというのが本音なのかもしれません。高校時代など学生の時期に社会のことを知り、職業観を養うことは、不安を解消するきっかけになるのではないでしょうか。
キャリア教育・職業教育の重要性
そこで問われるのが、キャリア教育や職業教育の重要性です。「子ども・若者白書」の報告によると、キャリア教育や職業教育を受けたことのある若者が、役に立ったと実感した効果は以下の通りでした。
・働くことの重要性がわかった
・コミュニケーション能力の大切さがわかった
・自分の視野や考え方が広がった
・ビジネスマナーが分かった
・就職先を選ぶときの参考になった
これらの効果を見ると、若者が抱える働くことへの不安解消に、高校などにおけるキャリア教育や職業教育が効果的であることが分かります。
キャリア教育とは?
最近よく耳にするようになった「キャリア教育」という言葉。聞いたことはあるけれど、ピンとこないという人も多いのではないでしょうか。「キャリア教育」とは、子どもや若者が将来、職業的、社会的に自立するために必要な能力を、日々の教育活動を通して育てていくことです。
小中学校や高校、地域社会での「キャリア教育」の取組みを通して、職業観や働くことの意味を学ぶことで、社会に出た時に必要な能力を身につけることができます。また自分の進路等を自ら選択し決定する主体性や、積極的に仕事に取り組む姿勢を身につけることもキャリア教育の目的のひとつです。
百聞は一見に如かず?!
テレビやインターネット、SNSなど、多くの情報は溢れていますが、子どもや若者達が毎日の生活のなかで、仕事をする大人の姿に触れる機会は多くはありません。キャリア教育では、いろいろな職業人と触れ合い、子どもが自ら学ぼうとする意欲を育成することが大切です。
学校以外でも、「職場体験」の場を与えるイベントを開催している企業も多くあります。スターバックスでは、夏休み期間に、働きながら地域と関われる高校生向けのプログラム「Youth Connection@STARBUCKS」を実施しています。
「百聞は一見に如かず」ということわざがあるように、たくさんの情報を得るよりも、一度自分で体験してみる方が、気づきが多いものです。学校で積極的に職業やキャリアを学ぶ場を生徒に与え、高校生自らが企業の職場体験やインターシップ制度を活用して職業観を養うことが、「働くことへの不安」を解消する近道ではないでしょうか。