高校生にもわかる業界研究シリーズ。「食品業界」「建設業界」「IT業界」「自動車業界」とご紹介してきました。今回は、最終消費者に商品を販売する小売業、その中でも百貨店とスーパーに焦点をあてどんな業界なのか、どのような違いがあるのかみてみましょう。
スーパーの「いま」
野菜や肉、魚やお惣菜などの食料品や日用品・衣料品など生活に必要なあらゆるものを販売しているスーパーマーケット。日常生活にとても重要な存在ですよね。
スーパーマーケットは日常生活に結びつきの強い業種であり、比較的景気に左右されにくいビジネスだといえるでしょう。いっぽうで、お店の周りの人口変化による影響を受けやすく、生鮮品の取り扱いが多いため生鮮相場の価格変動の影響をうけます。
スーパー業界でシェアが高いのはイオングループとセブン&アイグループ。3位のユニーグループに大差をつけた2強体制です。それぞれ5~6兆円の売り上げがあり、圧倒的な規模の大きさを誇ります。
この2社の強みはプライベートブランド(PB)にあるといえるでしょう。卸業者を通さず販売できるので、価格を安くすることができ消費者にも高い人気があります。
異業種ライバルとの戦い
他の業界と比べて、ケタ外れの市場規模があるスーパー業界。ただ長期的には少子高齢化で人口が減少しますので、来店客が減って売り上げが落ち、業界規模が縮小していくおそれがあります。また現在でも、ネット通販や専門店などのライバルにお客をうばわれ、食料品以外の売上げが下がりつつあるのが業界全体の悩みです。利便性やサービスをアップさせ、対策を探す必要がありそうです。
百貨店業界の現状
優雅で上品、ちょっと高級なイメージがある百貨店。化粧品や洋服、美味しい食べ物が並べられた華やかな店内は心が躍りますよね。でも皆さん、近頃デパートでよくお買い物をしていますか?
百貨店業界は近年、個人消費の減少に加えて若者を中心とする百貨店ばなれ、郊外型ショッピングモール・アウトレットの台頭などで苦境が続いていました。各社は生き残りをかけ、効率化をめざして大型の再編や改革をしています。
現在は、三越伊勢丹ホールディングス、そごう・西武、J.フロントリテイリング(大丸、松坂屋)高島屋、エイチ・ツー・オーリテイリング(阪神、阪急)の5グループが主要百貨店とされ、しのぎを削っています。
高級品が主力商品
2008年秋のリーマンショックからしばらく、他の業態との競争や景気の低迷により減少を続けていた売上げですが、2013年から増加に転じました。景気の回復で富裕層とインバウンド客(海外からの訪日客)が高級品を買い占めたいわゆる「爆買い」が要因です。しかし間もなく「爆買い」は失速。2016年の前半の売上げ、利益ともに前年に比べ大きく減少しています。
新しい販路を求めて
百貨店業界でもネット通販の普及に対抗して、新しい試みを始めています。それは店舗とネットを融合した「オムニチャネル」販売。実店舗だけでなく自社のネット通販などでも同じ商品を扱うサービスで、販売のチャンスを逃さないための仕組みです。
厳しい環境の百貨店業界ですが、今後も店舗の再編や販売改革などいろいろな動きがありそうです。